1か月の医療費の自己負担が上限額を超えたとき、超えた分が払い戻される健康保険の仕組みです。2026年8月に上限額が見直され、あわせて「年間上限」が新設されました。帝王切開や切迫早産での入院など、保険診療になった出産関連の費用で特に重要になります。
仕組みはシンプルで、同じ月(1日〜末日)の保険診療の自己負担が上限額を超えたら、超えた分が払い戻されます。上限額は年齢と所得で決まり、標準報酬月額28〜50万円の区分なら月およそ「85,800円+(総医療費−286,000円)×1%」です。自分がどの区分かは、給与明細の標準報酬月額か、加入先の健康保険で確認できます。
出産との関係で大事なのは、【正常分娩は対象外、帝王切開などは対象】という線引きです。正常分娩は病気ではないため保険診療になりませんが、帝王切開・切迫早産の管理入院・吸引分娩などは保険診療なので、この制度が使えます。日本では出産の約5人に1人が帝王切開といわれており、決して他人事ではありません。
もうひとつ知っておきたいのが【事前の手続きで窓口払いを減らせる】ことです。「限度額適用認定証」を事前に取っておくか、マイナ保険証を使って受診すると、窓口での支払いが最初から上限額までになります。あとから払い戻しを待つ必要がなく、まとまったお金を用意しなくて済みます。
2026年(令和8年)8月の診療分から、この上限額が引き上げられました。同時に「年間上限」が新設され、8月から翌年7月までの1年間の自己負担が上限に達すると、それ以降はその年の支払いが不要になります。月ごとの上限には届かないけれど治療が長く続く、というケースを救うための仕組みです。4回目から下がる「多数回該当」の金額は据え置かれました。
〈 〉内は、直近12か月で4回目以降になったとき(多数回該当)の金額です。区分は年収ではなく標準報酬月額で決まります。給与明細か加入先の健康保険で確認してください。
| 所得区分 | 標準報酬月額 | 1か月の上限額 | 年間上限額 |
|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 270,300円+(総医療費−901,000円)×1%〈140,100円〉 | 168万円 |
| イ | 53〜79万円 | 179,100円+(総医療費−597,000円)×1%〈93,000円〉 | 111万円 |
| ウ | 28〜50万円 | 85,800円+(総医療費−286,000円)×1%〈44,400円〉 | 53万円 |
| エ | 26万円以下 | 61,500円〈44,400円〉 | 53万円 |
| オ | 低所得者(住民税非課税など) | 36,900円〈24,600円〉 | 29万円 |
最終更新: 2026-07-29/出典: 厚生労働省