高額療養費は、あとからでも請求できます。時効は診療を受けた月の翌月1日から2年。その範囲なら、過去にさかのぼって申請できます。とくに見落とされやすいのが、1回の受診だけでは上限に届かないけれど、家族の分や複数の医療機関の分を合わせると届いていた、という月です。心当たりのある月がないか、この記事で確かめてください。
高額療養費を受け取る権利は、診療を受けた月の翌月1日から2年で時効になります。逆に言えば、それより新しい月であれば、いまからでも申請できます。
たとえば2025年4月に受けた診療なら、起算日は2025年5月1日。2027年4月30日までなら請求できる計算になります。月ごとに時効が来るので、古い月から順に消えていきます。
申請先は、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険)です。市区町村の窓口ではないことが多いので、まず保険証を確認してください。
そもそも高額療養費の対象だったと気づいていない、という取りこぼし方があります。よくあるのは次の3つです。
同じ月に、同じ世帯で、複数の自己負担があるとき、それらを合算して上限額と比べることができます。これを世帯合算といいます。
ただし70歳未満の場合、合算できるのは21,000円以上のものだけです。そしてこの21,000円は、次のように区分してから判定します。
世帯合算の「世帯」は、住民票の世帯ではなく、同じ健康保険に入っているかどうかで決まります。
つまり共働きで夫婦がそれぞれ別の会社の健康保険に入っている場合、同居していても合算できません。逆に、扶養に入っている家族の分は合算できます。
ここを取り違えると、請求できるはずの月を見逃したり、できないはずの合算を期待したりすることになります。
上限額は年齢と所得で決まります。区分は年収ではなく標準報酬月額で判定されます。給与明細か、加入している健康保険で確認できます。
2026年8月の診療分から金額が見直されました。それ以前の解説記事の数字は古い場合があります。
| 所得区分 | 標準報酬月額 | 1か月の上限額 | 4回目以降 |
|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 270,300円+(総医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| イ | 53〜79万円 | 179,100円+(総医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| ウ | 28〜50万円 | 85,800円+(総医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| エ | 26万円以下 | 61,500円 | 44,400円 |
| オ | 低所得者(住民税非課税など) | 36,900円 | 24,600円 |
標準報酬月額30万円(区分ウ)の方が、子どもの入院で保険診療の総額が50万円になった月。
窓口で払う3割は150,000円。上限額は85,800円+(500,000円−286,000円)×1%=87,940円。差額の62,060円が、あとから戻ります。
この月に、別の家族が同じ健康保険で21,000円以上の自己負担をしていたなら、その分も合算できます。合算すれば戻る額はさらに増えます。
マイナ保険証を使って受診するか、事前に限度額適用認定証を用意しておくと、窓口での支払いが最初から上限額までになります。あとから申請して待つ必要も、まとまったお金を用意する必要もありません。
入院や手術の予定が決まったら、まずここを準備してください。