ふるさと納税で紙おむつをもらう、という話はよく見かけます。ただ実際に探すと、寄付額1万円未満の帯には紙おむつ本体がほとんどありません。育休中は上限額が1万円に届かないことも多いので、「おむつをもらうつもりだったのに選べない」ということが起きます。ここでは実際に楽天ふるさと納税で価格帯ごとに検索して、何が届いて何が届かないのかを確かめました。あわせて「おむつは損」と言われる理由も、法令の数字から説明します。
ふるさと納税の返礼品には法令上の基準があります。平成31年総務省告示第179号で、返礼品の調達費は寄付額の3割以下、募集にかかる経費は全体で5割以下、そして返礼品はその地域の地場産品であること、と定められています。
つまり1万円を寄付したら、返礼品は3,000円相当までです。これはどのサイトで申し込んでも、どの自治体でも同じです。「このサイトのほうが還元率が高い」ということは、制度上ありません。
自己負担は2,000円なので、上限額の範囲内なら、2,000円払って3,000円相当のものを受け取る計算になります。差し引き1,000円ぶん得をする、というのがこの制度の実際の大きさです。
3割という上限はすべての返礼品に共通なので、おむつだけが不利になる仕組みはありません。それでも「損」と言われるのは、比べ方の問題です。
紙おむつはドラッグストアで売っている定価が分かります。1万円の寄付で3,000円相当のおむつが届けば、「3,000円のおむつのために1万円払った」と見えてしまいます。一方で肉や魚介は市価が分かりにくく、産地から直接届くぶん「この量でこの値段は安い」と感じやすい。同じ3割でも、受け取る側の印象が変わります。
判断の基準は還元率ではなく、確実に使うかどうかです。おむつとおしりふきは、子どもがいる家庭なら確実に消費します。食べきれない量の食品を選ぶより、家計への効果ははっきり出ます。
実際に楽天ふるさと納税で、寄付額5,000円〜10,000円に絞って「おむつ」を検索すると、出てくるのはおむつストッカー、おしりふき、おむつ処理袋、おむつポーチ、防水シーツです。紙おむつ本体はこの帯にはほとんど出てきません。
これは育休中の家庭にとって重要です。年の途中から復帰した年の上限額は、1万円に届かないことがよくあります。「ふるさと納税でおむつ代を浮かせよう」と考えていても、その上限額では選べないことになります。
ただし、おしりふきはこの帯で選べます。90枚入り16個といったまとまった数で出ているので、上限額が小さい年はこちらのほうが現実的です。
寄付額10,000円〜20,000円に広げると、紙おむつ本体が出てきます。パンパース(兵庫県明石市)、メリーズ(愛媛県西条市)、ムーニー・ムーニーマン(香川県観音寺市など)といった、よく使われている銘柄が並びます。製紙業やメーカーの拠点がある自治体が中心です。
銘柄にこだわりがある場合は、この帯まで上限額が届くかどうかが分かれ目になります。届かないなら、無理に上限を超えて寄付するより、おしりふきなど下の帯のものを選ぶか、働いている配偶者の名義で寄付するほうが確実です。
おむつは数か月でサイズが変わります。申し込んでから届くまで2週間から1か月かかるものが多く、まとめて届くと、使い切る前にサイズアウトすることがあります。
対策は2つです。ひとつは、届く時期を分けられる定期便を選ぶこと。1〜3回に分けて届くものがあり、途中でサイズを選べる場合もあります。もうひとつは、いま使っているサイズではなく、ひとつ上のサイズを選んでおくことです。
おむつにこだわらないなら、1万円以下で選べるものは広がります。米は1万円以下の帯に多く出ていて、5kgや10kgのほか、定期便もあります。水、トイレットペーパー、ティッシュといった、重くてかさばる日用品も同じです。
買い物に行くのが大変な時期に、重いものが届くのは実際に助かります。上限額が小さい年こそ、確実に消費するものを選ぶ意味が大きくなります。
ここまで価格帯の話をしてきたのは、上限額を超えた分がまるごと自己負担になるからです。1万円の上限しかないのに2万円の紙おむつを申し込むと、超えた1万円は戻ってきません。
育休・産休があった年は、上限額が前の年と大きく変わります。育児休業給付金と出産手当金は非課税なので、どれだけ受け取っていても計算に入りません。働いた月数と月給だけで決まります。